満を持して登場した書物「マインドフルネス&アクセプタンス」！
著者を紹介しますと
春木豊氏 文学博士（早稲田大学）であり、専門分野は身体心理学です。
武藤崇氏 心身障害学博士（筑波大学）であり、専門分野は応用行動分析学・臨床行動分析です。
伊藤義徳氏 人間科学修士（早稲田大学）であり、専門分野は認知臨床心理学・認知行動療法・マインドフルネストレーニングです。
杉浦義典氏 教育学博士（東京大学）であり専門分野は異常心理学・臨床心理学です。
心理学専門の諸先生たちが、英知を駆使して出版された書物とは！
どのようなものか見てみましょう。
人の思考や感情は、親から受け継いだ資質に長年育った環境や係わった人の影響を受けて作られるため、とても複雑でこれと一言でいい表せるものではありませんよね。
誰でも自分でも気が付かない思考や感情パターンがあり、そのため人間関係に苦しんでいる人も少なくないようですよ。
ストレスや苦しみが長く続くことで、うつ病や社会不安障害など精神疾患を患う人は多く、心理療法も行動療法から認知療法、認知行動療法と目覚しい発展を見せています。
現代では、複雑な社会環境の中で精神疾患と一口でいっても心身に現われる症状は多種多様で、それに伴い認知療法も認知行動療法、さらには第三の認知行動療法とさまざまな形の手法が登場！
ここで一歩立ち止まり、それぞれの認知療法・認知行動療法を比較検討することで、これからの心理療法にさらなる飛躍を期待しようとしているのが、書物「マインドフルネス&アクセプタンス」です。
書籍「マインドフルネス&アクセプタンス」の内容
目次を順追って紹介しますと、最初に登場するのが
・アクセプタンス・コミットメント・セラピー（ACT）とマインドフルネスの関係性。
どちらもアクセプタンス(受け入れる)を介入させて、ネガティヴな思考と上手に付きあう方法を示しています。
・境界性パーソナリティ障害に強みを持つ弁証法的行動療法にも触れ、自分を変化させる認知行動療法にアクセプタンスを積極的に取り入れる手法を紹介。
・マインドフルネス認知療法を紹介。
理論や手法に実際の研究成果も交えて、わかりやすく説明しています。
・アクセプタンス・マインドフルネスと認知行動療法の違いを示し、不安障害の適応性を検討。
・機能分析的心理療法において、認知療法とアクセプタンスのバランスを検討し説明しています。
・ACTにおける自己の価値を見出す一連の作業を紹介しています。
・実際に行動が活性化された人に用いられた手法と、その変化にいたったメカニズムの研究報告。
・アクセプタンス・マインドフルネスのトラウマに対する介入方法を紹介。
・全般的な不安障害者に効果的な認知行動療法を行い、「生きる価値」を見出したことを報告。
・摂食障害者に行われたアクセプタンス・認知行動療法とその変化に見られる認知行動療法の進歩について考察。
・アルコールや薬物依存症に効果的な、無我の境地を目指すヴィパッサナー瞑想についての説明。
書籍「マインドフルネス&アクセプタンス」の評判
この本を読んだ方のレビューを紹介しましょう。
認知療法は実証的研究を重ね、効果的なデーターを着実に示しており、今や世界で認められた揺るぎのない心理療法のように見えるが、認知療法が広範囲に用いられる今だからこそ、限界を見直す必要があると思う。
認知療法のマニュアルが各症状を対象に数多く出版されているが、どれだけの人が実際に救われているかという疑問をもっている。
自己の変化に重点を置いている認知行動療法は「ありのままを受け入れる」行為を見逃している気がする。
多くの専門家から認められている認知行動療法に敢えて批判を投じ、新たな認知行動療法が生まれることを期待して、高評価とした。
まとめ
いかがでしたでしょうか？
「マインドフルネス&アクセプタンス」の出版が2005年9月のことですので、まだ「自己を見つめて認知の偏りを修正する」ことに重点をおく認知行動療法が主流だったのでしょう。
レビューでも期待されていたように、今では新たな第三の認知行動療法として、「自己を見つめ受け入れる」アクセプタンス・コミットメント・セラピー（ACT）やマインドフルネス認知行動療法が注目を浴びています。
書籍「マインドフルネス&アクセプタンス」が、ACTとマインドフルネスをこの本の最初に登場させ注目していたことは、その後の発展に影響を与えたかもしれませんね。