あなたは、幸福度をどのような物差しで計りますか?
多くは裕福度や仕事など、成功しているかどうかが尺度となりやすいですよね。
私はあえて否定はしませんが、心に病を抱えている人が裕福な成功者にいないかといえば、
決してそんなことはありません。
本来の幸福度は、別な観点でとらえた方がよいようですね。
昔から心に病気を抱えた人は多く、さまざまな専門分野で医学的な研究開発が行われてきました。
医学の発展は目覚しいものがあり、第1行動療法から始まり第2の認知療法、そして現代では第3の認知行動療法として、マインドフルネスやACTが注目されています。
医学博士であり数々の著書出版、また実質的にマインドフルネス・グループ療法の運営や治療などを精力的にこなしている熊野宏昭氏の著書、「マインドフルネスそしてACTへ」を見てみましょう。
書籍「マインドフルネスそしてACTへ」の内容
マインドフルネスと基本的なACTの考え方を交差させながらわかりやすく解説しており、自分らしく活き活きとした生活ができるよう、「自分探し」をテーマに書かれた書物です。
本書は第1章から第4章に分けて、マインドフルネスとACTの効果的な利用方法を説明していますが、簡単に見てみましょう。
第1章「一人になったキクちゃん」
オウムのキクちゃんが主役となり、心の概念からマインドフルネス、さらにACTと説明をわかりやすく展開。
第2章 言葉が自分を作り上げる
自分が認識した言葉や考えで、認識の正しさは関係なく自分の感情や行動が表れる。
第3章 自分探しとマインドフルネス
マインドフルネスの実行が、自分探しにつながる。
マインドフルネス効果として医学的な観点や心身症、癌、精神疾患などに触れる。
第4章 言葉の世界全体から距離を取る
言葉に対するマインドフル的な見方を説明。
それぞれをさらに詳しく見てみましょう。
ACTは不安障害の改善に有効だといわれますが、この書物ではインコのキクちゃんや魔女の宅急便のジジを動員するなど、遊び心も加えて改善方法を示し、初心者でも楽しく理解しやすい内容となっています。
また、私たちは自分の認識の中で言葉や考えが頭に浮かびますが、それば事実だとは断言できません。
しかし、私たちはそれを事実だと受け止め、心に苦しみを抱えることになります。
このような思い込みから解放してくれるのが、ACTであると作者は伝えます。
たとえば、隣に座っている人が舌打ちしたら、「怖いな」とか「何も悪いことしていないのに」など、嫌な感情がわきあがりますよね。
しかし、理由はわかりませんが隣人はただ舌打ちしただけで、嫌な気持ちを持ったのは自分なのです。
このことをACTではフュージョンといいますが、このフュージョンから解放する方法を簡潔に教えています。
書籍「マインドフルネスそしてACTへ」の評判
多くは、わかりやすくACTの理解が深まったという感想を述べています。
たとえば
初心者がマインドフルネスと第3世代認知行動療法であるACTを学ぶには、最適な入門書である。
今までマインドフルネスとACTの関係性や、ACTが何に基づいた治療法なのかがわからなかったが、ACTの要点がわかりやすく解説してあり、本書を読んでACTの専門書を読んだ方が理解しやすいと感じた。
新世代の認知行動療法の言語行動療法は理解するのに難しいところがあるが、本書を読んで腑に落ちた。
中には心理学専攻の学生で、こんな意見もありました。
ACTを説明している専門書は500ページほどもあり一般向けではないため、このようにACTについて平易にわかりやすく書かれた書物が増えてほしい。
個人的にはACTはすばらしい認知行動療法だと考えているので、もっと一般の人に理解されて日本でセルフケアが広がってほしい。
少々厳しい意見も。
あくまでも自分探しに対する著者の見解、マインドフルネスやACTの基本理念が展開されているだけで、入門書まではいかない。
まとめ
このような専門的内容を扱う書物は、読者の理解レベルをどの位置に持ってくるかで、当然書く内容が違ってくるでしょう。
マインドフルネスやACTなど名前を知っている程度であれば、当然説明にページが割かれ深い内容までは及ばないですよね。
専門的内容をお求めでしたらお勧めできませんが、最初の取り掛かりとして読むにはとてもすばらしい書物のようですよ。