「マインドフルネス」または「マインドフルネス瞑想」という言葉を耳にしたことはありますか?
このマインドフルネスはビジネス界で注目をあつめ、グーグル、フェイスブック、インテル、ツイッター、ナイキ、P&G、ゴールドマン・サックス社など世界的大企業では社員教育の一環として取り入れています。
そもそも「瞑想」はトップビジネスリーダーの間で重宝されており、アップル社創始者のひとりであるスティーブ・ジョブスも瞑想実践者であったことは有名な話ですね。
日本では「NHKのためしてガッテンや、世界一受けたい授業」など人気テレビ番組で取り上げらたことも記憶にあたらしいですが、今やマインドフルネスはビジネス界をはじめ医療現場やスポーツ界でも注目を集めています。
マインドフルネスとは?
仏教の念に値し、元はパーリ語のサティを翻訳したもので、英語で「mindfulness」と表記されます。
宗教的な側面を排除した瞑想の技法・心のあり方・教えが取り入れられたマインドフルネスは、「いまのこの瞬間に集中をすること、邪念や雑念を完璧に捨て、ただ集中をする心の在り方」を目指すことを指します。
またその手法として瞑想を用いたものを「マインドフルネス瞑想」と呼びます。
<呼吸法と瞑想>
背もたれのある椅子に腰かけ、骨盤を起こし安定させ背筋を伸ばします。
身体の様々な部分の力を抜き、イメージは頭の上から糸で軽く引っ張られているような感覚で姿勢を整えてください。
手は膝の上に軽く置きましょう。
眼は半眼で少し斜め前をぼんやりと見つめるか、または軽く閉じてしまいます。
瞑想をしている間のポイントとなるのが「呼吸」です。
アメリカのアンドリュー・ウェイル教授によって考えられた方法です。
①4つ数えながら鼻呼吸でゆっくりと吸い込みます。
②7つ数えながら息をとめ、そのあと8つ数えながら口から息を吐きます。
この呼吸に意識を集中させ、雑念が沸かないよう自分自身を解放させます。
雑念が沸いても消し去ろうとするのではなく、また良し悪しの判断をすることもなく、ただ流すということを心がけましょう。
ありのままの状態・雑念・思考を受け流すことが重要です。
マインドフルネスとスポーツ・運動の関係
スポーツ界で取り入れられるマインドフルネスは、いまあるコンディションからのパフォーマンスアップ効果を期待したものが多いですね。
「過去や未来に意識を向けることなく、経験や価値観はさておき、ただ単にあるがままの状態を受け入れること。
今の感情や思考はどうか、周りの雰囲気や他者の関係性はどうか・・・」など現状の本質を見抜く力をマインドフルネスによって高めることで、トップアスリートたちには以下の効果が期待されています。
・ネガティブな感情に呑み込まれないように対処し、素早く自分のいい状態に戻ることができる能力=レジリエンス(回復力)を身につける。
・より長い良質な集中力を持続させる術をみにつける。
・マインドフルネスによって高まる「1点を見抜く力、そして全体を見抜く力」により、冷静な判断を瞬時にできるようになる。
・自らに起こっている心身の異常にいち早く気づくことが可能となり、手遅れになる前に対処できるようになる。
・マインドフルネスの効果の一つである「他者への思いやりの向上と気遣い」がアスリート同士のチームワークをより強いものにすることが可能となる。
試合中に心を落ち着かせる、集中するというメンタルスキルはアスリートにとって欠かせません。
マインドフルネスの効果は、個人競技・団体競技共にアスリートたちのメンタルアップに大きな役割を果たしています。
マインドフルネスを実践しているスポーツ選手
バスケットボールのマイケル・ジョーダン選手、テニスのジョコビッチ選手などなど、世界的なアスリートたちがマインドフルネスを取り入れていると言われています。
また日本では、野球選手のイチローをはじめサッカー日本代表の長友佑都選手や大相撲の琴奨菊関、ラグビー日本代表五郎丸選手などが挙げられます。
イチロー選手は、「誰よりも早く球場に入り、ウォーミングアップを終えると必ずロッカー前に腰をかけ20分~30分の瞑想に入っている」とニューヨーク・ヤンキース時代のチームメイトが証言していますね。
長友選手は、自身の著書の中で「マインドフルネス」について述べています。
また、琴奨菊が取り取組前に行う「琴バウアー」や、五郎丸選手がキックの前に行っているあのポーズもマインドフルネス技術の一つですね。
中でもアスリート界で最も有名なのが、テニスのジョコビッチ選手でしょう。
ジョコビッチ選手は、マインドフルネスによって「脳内で一体どれだけのネガティブなエネルギーが循環していたのかに気づくことになった。
一歩下がって自分の考えを客観的に見渡すように集中すると、莫大な量のネガティブな感情がそこにあるのがはっきりと見えた」
「かつての私は、フェデラーやアンディ・マレーとは決して同格ではないことをよくわかっていた。
今でも、サーブを失敗したりバックハンドをしくじったときに、自己疑念にかられることはあるが、一方で対処法もわかっている。
ネガティブな考えが浮かぶことをそのまま認めて、そのままやり過ごし、今の瞬間に集中するのだ。
あのマインドフルネスが、痛みや負の感情と向き合うのにとても役立っている。
このおかげで私は本当に大切なものに集中できている。
そして脳内でそんなネガティブな声の音量を下げることができている。」と、自身の著書の中で語っています。
またテレビ番組に出演した際に、瞑想を紹介していたことも有名です。
まとめ
「集中すること、判断すること」を向上させるマインドフルネスはビジネス界だけでなく、今やスポーツ界でも重宝されていることがよく分かります。
世界を舞台に、時には国を代表して戦うトップアスリートこそ、「マインドフルネス」を取り入れその効果を声に出している人が多いですね。
効果や実践方法は人それぞれですが、これを機会に「マインドフルネス」を意識してみてはいかがでしょうか。