Googleのフェロー(特別研究員)であったチャディー・メン・タンさんの書籍「サーチ・インサイド・ユアセルフ」が、マインドフルネス実践プログラムとして世界に注目されたのはまだ記憶に新しいと思いますが、実はその続編として「JOY ON DEMAND」が発表されました。
前作が企業や社員向けの瞑想プログラムだったのに対し、「JOY ON DEMAND」は、一般人向けの「いつも幸せを感じてほしい」という心温かいメッセージが含まれた、マインドフルネス瞑想実践書となっており、大変興味深いですね。
では書籍「JOY ON DEMAND」とは、いったいどのような内容なのでしょうか?
少しだけ覗いてみましょう。
書籍「JOY ON DEMANDたった一呼吸から幸せになるマインドフルネス」の内容
書籍「JOY ON DEMAND」に込められた作者チャディー・メン・タンさんの思いは、タイトルが表しているように「要求に応じて(ON DEMAND)喜びや楽しみの状態(JOY)になることは、心のトレーニングで可能である」の一言に集約されているようですよ。
裕福であり仕事も成功して幸せの環境が整えば、誰でも幸せを感じることができると思うのですが、作者は自分の経験からこう述べています。
「過去の惨めな環境からできあがったネガティブな心は、環境がよくなってもすぐに顔を出してくる。そのため幸せを感じても長続きしない。いつも喜びや幸せにあふれているためには、自分の奥底にあるネガティブな心を初期設定しなおし、ポジティブな心へとリセットしなければならない。それはトレーニングで可能だ」と。
そして、そのトレーニングというのが「判断や感情を持ち込まず、意図的に今この瞬間に意識をむける」というマインドフルネス瞑想で、「今を幸せであり続けるためには、毎日の実践が重要だ」とも伝えています。
心のトレーニングを続けていると、必要なときに心を落ち着かせることができるようになるとのことですが、ストレスの多い世の中でより良く生きるためには、とても重要なことですよね。
たとえば、会議中や家庭の中で危機的な状況が起きた場合、心は動揺し冷静な判断ができにくくなりますが、そこで心を落ち着かせてベストな判断を導き出すことができたなら、将来がまったく違ったものになってくるでしょう。
そこで作者は、マインドフルネス瞑想で心を落ち着かせる方法として、三つのことを紹介しています。
一つは、呼吸や体に感じる感覚など「ある対象」を意図的に意識する。
二つ目は、動作を止め想像力を働かせる。
具体的には、心地よい椅子に座って、風にそよぐススキの穂など気持ちのよい風景を想像するというようなもの。
三つ目は、何もせず「今ここにいる」そのことだけを感じる。
他にも、作者は誰でも素通りしたくなる内容まで踏み込んで、日常のJOYを最大に邪魔しているのが「惰性化」と述べ、克服方法として「自分がいつかは死ぬ運命にある」ことを強く意識することだと述べています。
人は死を意識すると、物事が正しく見ることができるようになり、重要なことの選別ができるようになるとのこと。
実際、「自分の人生の短さを感じるほど幸せを感じやすい」という研究結果もあるそうです。
書籍「JOY ON DEMANDたった一呼吸から幸せになるマインドフルネス」の評判
前作同様反響は大きく、ジミー・カーター(アメリカ元大統領)やジョン・カバット・ジン(マインドフルネス・ストレス低減法創始者)など各界から賞賛を受けています。
書評においても、マインドフルネス瞑想を具体的な実践法も交えて、ユーモアたっぷりにわかりやすく説明されていたので読みやすい。「私にもできるかも」と思わせてくれる本だという意見が多かったですね。
中には、優しさに満ちあふれた言葉に触れて、「できる。君なら大丈夫だ。僕だってできたのだから」と、陽気で賢い作者がそばで励ましている感じがしたという人も。
また、仏教の事例や禅、ダライ・ラマ14世の言葉が引用され、「最も尊敬する人はブッダである」と明言しているところが好感もて、面白かったという意見もありました。
まとめ
私の中でとても共感できたのが、「死を意識すると幸せを感じやすい」という文面。
私も時々現実のこととして「死」という概念がふっとよぎりますが、健康寿命は人生80年?残りの人生を指折り考えたとき、今を楽しく有意義に生きることに真剣になったような気がします。