グーグルやフェイスブック、インテルなど、世界的な企業で研修として実施され、一流テニス選手のジョコビッチも行っているマインドフルネス。
いろんな分野で注目されているマインドフルネスが、健康にどのような効果があるのか解説していきます。
マインドフルネスとは?
「今、この瞬間」に意識を集中させることです。
この状態を作り出すことにより、ストレスを軽減し、日々の暮らしの質を高めていくことができるといわれています。
マインドフルネスにはいろんなやり方がありますが、基本となるのが瞑想。目を閉じ、呼吸を意識しながら心と体をリラックスさせます。
瞑想=禅のイメージがあるかもしれませんが、心配は無用。宗教的な要素は取り除かれ、どんな年代の人でも気軽に取り組めるようになっています。
マインドフルネスは健康に効果があるのか
よく眠ったはずなのに疲れが残っていることはありませんか。
それは身体ではなく脳が疲れているのが原因です。
1日の活動総エネルギーの20%は脳が使用しており、眠っている間にも動き続けています。
ぼんやりしている時も、いろんな雑念が頭をよぎり、不安やイライラを抱えることがあります。
そんな脳を休ませる方法が「今、この瞬間」に意識を集中させるマインドフルネス。次のような効果があるといわれています。
ストレスの軽減
不安や悲しみ、イライラした感情を伴うストレスは、原因そのものを解決していない状況でも、マインドフルネスによって軽減することができます。
ストレスを感じると、脳と体が緊張している状態になりますが、ゆっくり呼吸をすることによって副交感神経が優位に。
すると心拍数が落ち着きはじめ、徐々に気持ちも穏やかになります。
さらには、不安を緩和することによって、脳にあり、ストレス反応で動き出す性質がある扁桃体の働く回数も減っていきます。
扁桃体がよく動く状態が長期にわたると、体はストレスに対して過敏になる仕組みがあるので、扁桃体に指令を送らないようにすることが大切です。
また、「今、この瞬間」への集中を繰り返すことで、頭に浮かんだ過去のいやだった出来事や、未来への不安などのマイナス感情にとらわれた場合も、すっと気持ちを切り替えることができるようになっていきます。
睡眠
呼吸をしたり、適切な体温を保つために汗をかいたりなど、意志とは関係なく体内環境を整えている自律神経。
自律神経には活動モードの交感神経と、リラックスモードの副交感神経の2つが備わっており、24時間どちらかが優位な状態にあります。
睡眠時はリラックスモードの副交感神経がメインとなりますが、ストレス反応が強い場合、交感神経の働く時間が増えてしまい、寝つきが悪くなることも。
マインドフルネスで自律神経を整えることによって、副交感神経への交代がスムーズになり、よく眠れるようになります。
記憶力
脳の中で記憶力を司っている部位が海馬。海馬はストレスホルモンのコルチゾールにより委縮してしまいますが、ストレスを減らすことにより、いい状態を保てるようになります。
マインドフルネスを8週間継続することによって、海馬が大きくなったとの研究データもあります。
心身の調子を整えることによって、集中力や免疫力アップも期待できそうです。
マインドフルネスのやり方
基本的なやり方
座って背筋を伸ばし、目を閉じます。目を開けて行うときは斜め前を見てください。
肩の力を抜いて、手を太ももかひざのうえに置き、ゆっくりと呼吸をします。鼻から息をすいこみ、鼻から息をだします。鼻を通っていく空気、胸やお腹の動きに意識を向けます。
雑念が頭のなかをよぎったら、「浮かんできたな」と確認だけ行い、意識を呼吸に戻します。
5~10分続けます。
発展したやり方には、食材のひとつひとつをゆっくり味わうイーティング・メディテーション、歩きながら呼吸や体の動きを意識するウォーキング・メディテーション、周りから聞こえてくる音に注意をしながら呼吸をするマインドフルリスニングなどがあります。
まとめ
スティーブ・ジョブズは瞑想、グーグルはSIY(Search Inside Yourself)というメソッドとして取り入れ、日本でも研修の一環で取り組む企業が増えてきています。
いろんなやり方がありますが、共通しているのは
・「今、この瞬間」に意識を集中させること
・脳は「習慣」を好むため、毎日続ける方が効果を実感しやすいこと
・特別な道具は必要ないこと
マインドフルネスはいつでも、どこでも始められ、進歩を記録するアプリもあります。
最初は5分からでも、ご自分に合ったやり方で気軽にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。