瞑想などを行い、「今、この瞬間に起こっていることに気づき、受け入れる」ことで脳の疲れを回復させる「マインドフルネス」。
詳しくその効果を調べているうちに、「マインドフルネスはうつ病に効果がある」という謳い文句を見かけた方は多いのではないのでしょうか。
「ホントに瞑想なんかでうつ病が治るの?」そんな疑問を持った方も大勢いるはず。
今回は「マインドフルネスはうつ病に本当に効果あるのか」、その視点でマインドフルネスについて解説していきます。
マインドフルネスはうつ病に効果がある?
今、世界中でマインドフルネス実施によるうつ病の改善結果の報告が上がっています。
マインドフルネスはうつ病に効果があるのです。
とある研究結果の中には、抗うつ治療を行った時と同じくらいの効果が見られた事例もあります。
さらに日本では心療内科を中心に、マインドフルネスを精神病治療プログラムとして実際に取り入れているクリニックやカウンセリングが増えており、精神医学界でも本格的に取り組んでいるのです。
ではなぜ、そこまでマインドフルネスはうつ病に対して効果があるのか。
その理由を知るために、マインドフルネスを行うことによる効果と見ていきましょう。
なぜマインドフルネスはうつ病に効果があるのか?
マインドフルネスは別名「気づくトレーニング」。
たとえば、「今、俺めっちゃ怒ってる」だったり、「目の前の仕事に集中できていないな」だったりなど、「今起こっている出来事や自分の感情に『気づき』客観的に見る」ことを目的にしています。
その「気づき」がうつ病への効果のポイントです。
うつ病とマインドフルネスの関係
うつ病は「自分はダメな人間だ」、「生きてる価値もない」などのネガティブな感情、考えが延々と自分の頭の中を駆け巡ってしまう心の病。
脳の働きも、幸せホルモンである「セロトニン」などの神経伝達物質の分泌が悪くので、心にも体にも悪影響を及ぼしてしまいます。
従来であれば抗うつ薬の投与による治療が進められてきましたが、現在はマインドフルネス瞑想によって「自分のネガティブな感情に『気づき』、受けいれ、柔軟に対処する」というアプローチがなされています。
「ネガティブな感情を捨てずに受け入れる」、一見あまり良くないように聞こえますが、このポイントは捨てようと無理をしてさらに心を痛めないようにすることです。
うつ病の状態では極端なマイナス思考によって今まで自分の感じていた感情、物事への評価が正しく出せない状態、いわゆる「認知が歪んでいる」状態になっています。
その状態ではいくらネガティブな感情を捨てようとしても、なかなかうまく対処でき無い上に、「うまく対処できない自分」に落ち込んでしまうのです。
そこで、マインドフルネスを取り込んだプログラムを実行することで、そのネガティブ感情を客観的に見ることができるようにトレーニングを行います。
客観的に自分の思いや考え方を確認することにより、一歩引いた位置から「自分の落ち込んでいる原因」、「悲観的な思い」を冷静に分析していくのです。
そうしてうつ病の大きな特徴である自己否定的な考えの繰り返しを防ぐ事に繋げていきます。
また、マインドフルネスは脳疲労を回復する休息法でもありますので、疲労回復によるストレスの軽減も見込む事ことができます。
マインドフルネスは、このような効果によってうつ病に有効と言われているのです。
マインドフルネスの考えから生まれたうつ病治療プログラム
上記で解説したうつ病とマインドフルネスの関係は、「マインドフルネス認知療法」と呼ばれるプログラムの考え方です。
「マインドフルネス認知療法」とは、ジョン・カバットジン氏が開発した「マインドフルネスストレス低減法」をよりうつ病治療に特化させた心理療法。
マインドフルネスストレス低減法に認知療法の考え方を取り入れたものです。
元々「マインドフルネスストレス低減法」は、ジョン・カバットジン氏が身体的ストレス、痛みを改善させるために開発したプログラムであり、そのころからマインドフルネスは医学的に注目されていたと言えます。
マインドフルネスはうつ病に確実に効く訳では無い
確かにマインドフルネスはうつ病への効果が認められ、専門のプログラムが開発されたりしてきました。
しかし、決して行ったすべての人に効果が見られたわけではないので注意して下さい。
また、正しいやり方をしなければ、逆効果になってしまうという事例もあります。
ですので、うつ病始め心の病の治療をマインドフルネスで行う場合は、必ず講師や医師の指導の下で行うようにしましょう。
しかし、現在では精神医学の分野で日夜研究が進んでおり、近い将来にはさらなる効果の立証や、より効果のあるプログラムの開発に成功するのは間違いありません。
まとめ
マインドフルネスは、うつ病に対し有効な効果が臨床結果により報告されています。
「マインドフルネス認知療法」などうつ病に特化したプログラムも開発され、今後も心の病に対しての療法として進化していくでしょう。
しかし、現段階では100%の効果が立証されたわけではないので、専門家による有力な見解を自分で調べたり、正しいプログラムに長期的スパンでしっかり取り組んだりすることが大切です。