あなたは「好転反応」というものをご存知でしょうか。
ネットで瞑想やマインドフルネスについて調べていると、たまに瞑想によって好転反応が起こると紹介しているブログ記事が目につくことがあるでしょう。
鍼灸治療などの東洋医学においてよく使われたりするこの言葉ですが、しっかりとルーツや定義などについて理解しておかないと、その効果の是非についてうまく実感することができません。
今回は瞑想と好転反応、この二つの関係について解説していきます。
好転反応について解説する前に
まずこの好転反応について解説していく前に、この反応のしっかりとした科学的根拠はまだ解明されていないという前提を頭に置いておいて下さい。
好転反応は東洋医学で使われている伝統的な医学用語ですし、膨大な臨床結果の蓄積の中にも、実際に好転反応だと思われる反応がたくさん確認されています。
好転反応自体はまったくの嘘というわけではありません。
しかし、その曖昧な表現を利用した事例が多数あり、過去には薬や健康食品の副作用ごまかしに使われていたという事実があります。(2014年に、消費者庁によって、悪質な表示に対し注意喚起が行われている)
もし、薬、健康食品、またはマッサージや健康サービスに好転反応ついてのセールストークが露骨に表示されている場合は、注意が必要となるでしょう。
好転反応とは
先述した通り、東洋医学における鍼灸などに使われる用語で、治療の過程で一時的に臓器や皮膚にさまざまな反応が起こることです。
好転反応についてはいろいろな情報がありますが、ようは風邪を引いた時、体の中の細菌を追い出すために咳を出すのと同じ原理です。
慢性的な体の不調や病気が治っていく途中、体の中の悪い細菌の追い出そうとする時や神経・代謝が正常に戻ろうとする時、休んでいたり弱っていたりした機能や知覚が急に目覚めると、それに慣れきってしまった体がびっくりしてしまいます。
その反応が発熱や発汗、体の痛みなどになって現れるのです。
好転反応の段階においてこれを「過敏反応」と呼びます。
また、好転反応の段階の一つに「排泄反応」というものがあり、長い間体内に溜まっていた老廃物や悪い物、いわゆる「毒素」が排出されることで、皮膚に吹き出物が出たり尿の色が変化したりします。
そして最終的にはこれらの症状が治まり、元の健康だった状態へと回復していくのです。
これが主な好転反応プロセスになります。
つまり弱ったり眠っていたりした機能の回復、痛みや不調の原因だった老廃物などの毒素を排出する過程で、体の至る所にさまざまな反応が出ることを好転反応と呼ぶのですね。
基本的には上記のような、「体が良い方向へ転じる際、一時的に出る反応」ということになります。
好転反応の具体的な段階は以下の通りです。
1. 弛緩反応……筋肉のゆるみや体の機能が回復に合わせ、一時的にアンバランスな状態になること。
2. 過敏反応……目覚めた機能や知覚の覚醒に際し、発熱、下痢、発汗などの症状が現れること
3. 排泄反応……体内の解毒作用のこと。体内に溜まっていた老廃物、悪い物が排出される過程で、汗、尿、便、皮膚に反応が出る
4. 回復反応……血行が改善され、うっ血していた悪い血液が体を循環し始めることで体に起こる反応。血液が浄化されると元に戻る。
瞑想で好転反応が起こる?
上記で好転反応について解説しましたが、「瞑想となにか関係があるのか」と疑問に思った人もおられるでしょう。
瞑想における好転反応とは上記のような症状そのままではなく、あくまで瞑想実施の範囲で起こる体の反応になります。
瞑想における好転反応は、普段瞑想を経験したことがない方や、不安やストレスを特に感じている方に出る可能性が高くなります。
症状としては軽いものばかりですが、心身の不調、軽頭痛、不安感の増大、眠気などが起こる可能性があるのです。
瞑想での好転反応は決して悪い事ではない!
瞑想において上記の反応が出た時に、「これじゃ意味がない」、「悪化してしまったじゃないか」と思ってしまい、途中で瞑想を諦める方も多いです。
しかしそれでは症状が瞑想の好転反応ということに気づかず、本当に意味が無くなってしまいます。
まず瞑想は「脳の筋トレ」と呼ばれることもあり、最初からすぐに効果が出るようなものではないということを知ってください。
体の筋トレのように徐々に、継続することで効果を発揮していきます。
慣れていない筋トレ、またはがっつりとした筋トレを行うと筋肉痛になるのと同じで、瞑想に慣れていない、より効果のある瞑想を行えば上記のような好転反応となって現れるのです。
つまり好転反応はよりあなたの瞑想をレベルアップするための心の排出反応、あなたのストレス軽減、不安、集中力向上につなげるための重要なプロセスなのです。
ですのでなにか不調が出た時も、あくまでポジティブに「これで心の毒素が出て、どんどん健康になっていくんだ」と好転反応ということに気づき、受け入れていくことが大切になります。
まさに瞑想の好転反応においても「体が良い方向へ転じる際、一時的に出る反応」ということを忘れないようにしましょう。
ただし、あまりにも不安感や頭痛など体の症状が酷い場合は瞑想を中断し、医師や専門家に瞑想の相談、しっかりした瞑想指導を行って貰うことをおすすめします。
無理だけは決してしないようにしましょう。
好転反応が起こる瞑想のやり方
好転反応がでる瞑想とは、しっかりとした深い瞑想であるということ。
正しいフォームで筋トレすると筋肉痛が起こるように、好転反応が起こる瞑想とは基本をきちんとした正しい瞑想のことになります。
ここでは今流行している「マインフルネス」でお馴染みの、基本の呼吸瞑想をご紹介していきます。
1. 背中はしっかりと伸ばしつつもリラックス、お腹には余裕を持たせて椅子に座る。
2. 目は閉じるか半目の状態にする。手はももの上にのせる。手のひらは自分が楽な方向を向ける。足の裏を地面にピタッとつけておく。
3. 自分の体全体に意識を向ける。足が地面についている感覚など、どこかに接触している感覚に意識を向けるとやりやすい。
4. 自分の呼吸にしっかりと意識を向ける。
5. 雑念が湧く、意識の逸れなどは絶対に発生するが、その事実に気づき、また自分の呼吸に意識を戻していき、これを雑念が湧くたびに何度も繰り返す。
6. 終わる時は徐々に目を開けること。
まとめ
深い瞑想を行うことで、人によっては好転反応で体に違和感が出ることもあるでしょう。
しかしそれは心の不調、つまりストレス、疲労、ネガティブ感情などが体の外に放出されているサインなのです。
しっかりとその反応を向き合うことができれば、より大きな瞑想効果を得ることが可能になります。
ただし、あまりに体の不調などが続くのであれば注意が必要です。
しっかりと自分の体と相談し、瞑想の好転反応を付き合っていって下さい。