近年日本でブームになりつつある「マインドフルネス」!
当初医学の分野で仏教の瞑想をもとに発案されたマインドフルネスですが、医学を始め教育・企業・スポーツなどそれぞれの分野の専門家が注目し始めていますね。
社会福祉の分野でも、マインドフルネスの効果に着目し、福祉とマインドフルネスの一体化を研究する人が現われました。
関西学院大学・人間福祉学部・社会福祉学科で教鞭を取っている池埜聡氏!
池田氏とは、人の手助けを必要としている人々へ直接支援を行う社会福祉ミクロの目線で、常日頃から研究・活動を行ってきた人です。
災害や事故など心的外傷(トラウマ)を抱えると、心の問題だけではなく健康や生活など福祉的ケアが必要となりますよね。
池埜聡氏は実際にマインドフルネス研修に参加して、マインドフルネスが心的外傷のケアに効果的だという観点から、実践・研究を行っています。
池埜聡氏が学んだ主なマインドフルネスとは!
・マインドフルネス段階的トラウマセラピー
・マインドフルネス実践講義
・マインドフルネスストレス低減法MBSR8週間プログラムへの参加
他多数
では、池埜聡氏の考えるマインドフルネスとは、どのようなものなのか見てみましょう!
池埜聡さんのマインドフルネスとは?
池埜聡氏は社会福祉学を専門とする立場から、マインドフルネスを単なる集中力の向上や日常生活のストレス解消方法とは捉えていません。
近年の日本では大きな地震や水害が多く、長期避難生活で精神的、肉体的に負担を強いられている人が多くいますよね。
テレビで放送されるたび、私たちは地震や水害、風害、火災、事故など常に予期せぬ危機と隣り合わせにあることを実感するものですが…。
実際に災難に合うと、心に強いストレスを受けるだけでなく、身体にも不調が現われるなど、その影響は計り知れないようです。
実は、私たちが被害を受ける危険性があるのは、災害だけではありません。
本当にあってはいけないことですが、実際には犯罪や虐待も目に見えないところでは行われており、心的障害(トラウマ)を抱えて苦しんでいる人が多くいます。
池埜聡氏は、このような外傷性ストレスを抱えている人々の支援を充実させるため、マインドフルネスの研究・実践を行い、科学的なトラウマ被害のケア構築を目指しています。
そこで、池埜聡氏が目をつけたのが、日本の文化である武道や茶道、食事時に心をこめて「いただきます」「ごちそうさま」という日本独特の感性。
近年、武道や茶道における精神統一や集中力が、脳神経科学の分野でトラウマの軽減に効果があることが実証されつつあるようです。
このことは、「今この瞬間に集中し、自己の気づきを得る」マインドフルネスと癒しを与える日本文化との関係を研究し、災害被害者や犯罪被害者のトラウマケアに向けて活動を行っている池埜聡氏にとって、追い風の材料といえるでしょう。
池埜聡さんの書籍
介護保険制度が施行されて20年近くなりますが、その間福祉や介護に携わる人が増えてきましたね。
家族は大変助かるのですが、介護職は認知症や寝たきり高齢者のお世話や人間関係などで、腰痛や心にストレスがかかることも多く、現場は決して楽な仕事とはいえないようです。
福祉士の資格を持つ池埜聡氏は、福祉や介護に携わる現場の厳しさをよく知っており、書籍「福祉職・介護職のためのマインドフルネス」の中で、問題解消に効果的なマインドフルネスの提案を行っています。
書籍「福祉職・介護職のためのマインドフルネス」の具体的な内容とは
第1章では、マインドフルネスの仕組みと説明を行っています。
(例)マインドフルネスへの導入・ストレス低減のメカニズムなど。
第2章では、マインドフルネスの効果を示しています。
(例)体の痛みを和らげる・怒りを静める・共感力を高めるなど。
第3章では、具体的に福祉や介護の現場で活かすマインドフルネスを紹介しています。
(例)仕事と生活のバランスを整え方・認知症患者や家族を支えるマインドフルネス・傷つきを回避する方法など。
また仕事中や休憩中など、現場でできる具体的な瞑想法としては
・呼吸瞑想・食べる瞑想・歩く瞑想など、活動しながら行うマインドフルネス。
・痛みの瞑想・ネガティブな感情に対する対応の仕方・慈しみの瞑想・許しの瞑想・傷つきから身を守るなど、感情に対するマインドフルネス。
・ボディスキャンの方法。
・仕事と生活の調和・認知高齢者と共に・リーダーシップの育成など、福祉現場をより良くするマインドフルネス。
など。
まとめ
武道や弓道、茶道、花道、書道など「…道」と呼ばれる日本文化は、精神統一が貫いている文化なのですね。
今まで日本文化に幾度となく触れてきたものの、今更ながら新しい感動を覚えています。
個人的にも、日本文化とマインドフルネスが大きく関係していることを感じており、日本文化に癒されたり、脳科学でストレス改善の効果が示されつつあるのも理解できますね。