アメリカやオーストラリアで早くから研究開発されてきた「マインドフルネス」。
近年日本語に翻訳された書物やテレビなどで紹介されていますので、ご存知の方も多いでしょう。
グーグルやアップルなど海外の大手企業が、社内研修にマインドフルネスを取り入れたのは有名な話ですよね。
海外では、すでに臨床でうつ症状の改善エビデンスを得ており、マインドフルネスの研究開発が進んでストレス軽減や集中力を高める効果があることもわかってきました。
マインドフルネスは仏教の瞑想をヒントに開発されたものですが、仏教といえば日本に馴染み深い宗教ですよね。
しかも、一般人には修行のイメージがあり敷居の高い瞑想ではありましたが、なんとなく精神の落ち着きに効果があるような感覚はあったと思います。
実は、マインドフルネスが日本に入ってくる前から、瞑想の効果に注目していた心理学者や精神医学者等は大勢いて、それぞれ個別に活動していたようです。
治療や効果の程度に個人差はつきもので、効果の評価に重要なのが、エビデンス(治療における効果の確率・手段)というもの。
近年、マインドフルネスブームが起こりつつある中で、有効なエビデンスの確立も含めさまざまな課題に取り組むためマインドフルネス学会が設立されました。
またマインドフルネスの有効性を検証するため、大学も研究開発に携わっているようです。
日本においても、マインドフルネスに寄せる期待が高まりつつあるようですね。
マインドフルネス学会について
研究や実践を行っている心理学者や精神医学者、宗教関係者など、マインドフルネス専門家が意見交換・議論・検討する場として、マインドフルネス学会は平成25年9月16日に設立されました。
理事長は、早稲田大学文学学術院教授の越川房子氏。
事務局は、早稲田大学文学学術院越川研究室。
マインドフルネス学会では、実践において有効性と安全性の確立を目指しており、マインドフルネスを取り入れようとする者の迷いや不安を改善してくれるものとして、これからの活動に期待が持てますね。
また、マインドフルネスがストレスの多い現代社会でストレス対処法として色濃く認知されている中、心身の健康や良好な人間関係、自己の成長、社会共存など、まだ表に出てきていない効果まで含めてさまざまな効果があると考えています。
そこで、心理学や医学、教育、福祉などあらゆる分野の研究や普及に貢献し、更なる発展につなげたいという強い思いがあるようですよ。
学会ではマインドフルネスを「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価せずに、とらわれのない状態でただ観ること」と定義し、公に発表しました。
これは、人や場所により個々の表現を使って説明されているマインドフルネスに対し、概念の統一を図るのに効果的といえますね。
これからのマインドフルネス学会における課題や取り組みを、取り上げてみましょう。
・最高にマインドフルネス効果を引き出すための、組み合わせの考察。
・マインドフルネスを継続させるための、モチベーションの作り方。
・マインドフルネス効果の科学的なエビデンス。
・実践プログラムが個々の社会生活に適したものであるか。
・実践、効果のエビデンスは、社会生活の中で得られたものであるか。
といったもので、これらの課題に応えていくため、毎年「日本マインドフルネス学会大会」を開催、研究会や講習会の開催、機関誌発行など、さまざまな活動を行って情報発信しています。
マインドフルネスを研究している大学
《東京大学大学院教育学研究科 臨床心理学コース 高橋研究室》
大学院修士課程で臨床心理学を学びコミュニティ心理学・精神分析を経験して、大学院博士課程で認知行動療法を学ぶ。
その間内観療法や森田療法にもふれ、現在臨床心理士としてマインドフルネス瞑想を臨床に活かすため体験研究活動をしているとのことです。
《慶應義塾大学 ストレス研究センター》
マインドフルネスによるストレス改善や幸福感・充実感を高める効果の有効性を検証するため、文部科学省科学研究費の助成を受け、一部の活動として「マインドフルネス教室」を開催しています。
マインドフルネス教室は、書籍「自分でできるマインドフルネス-安らぎへと導かれる8週間のプログラム」(マインドフルネス認知行動療法を開発したオックスフォード大学のウィリアム博士が執筆)を元に実施されています。
インストラクター 佐渡充洋 (研究責任者)慶應義塾大学医学部精神神経科学教室の医師
インストラクター 二宮朗・小杉哲平 慶應義塾大学医学部精神神経科学教室の医師
マインドフルネス教室の参加者は一般人が対象ですが、研究の一環であるため参加条件が提示されています。
詳しい内容は、下記のホームページをご覧くださいね。
10~20人のグループで、120分のトレーニングを週一回。
興味のある方は、参加してみたらいかがでしょうか?!
まとめ
日本において、マインドフルネスは第三の認知行動療法として注目され始めたばかりで、まだ確立したエビデンスは、これからを待たなければいけないようですね。
しかし、マインドフルネスの効果は多くの研究者や実施者が認めるところで、マインドフルネス学会や大学の研究機関の今後の活動に、大きな期待が寄せられているようです。