世界的大企業Googleが本格的に取り入れてから、インテル、appleなど大企業がその効果に注目するマインドフルネス。
実際に生産性、チームワーク力、集中力の向上が科学的に証明されつつあり、その方法論は今や多くの書籍などで解説されていますね。
今回は企業取り組みの先駆者、Googleのマインドフルネスについて解説していきます。
マインドフルネスについて
マインドフルネスとは、「評価や価値判断にとらわれることなく、今の瞬間に意識を向ける」という身体、精神の状態のことを指します。
他にも「注意力のトレーニング」、「集中瞑想」とも呼ばれていますね。
仏教で長年行われてきた「瞑想」によって至る精神状態、つまり雑念を払い呼吸に集中することによって、精神の安定と脳の活性化を目指していきます。
瞑想やヨガをすることでストレスを軽減したりなど、脳に良い影響を与えようということですね。
実際にその効果は脳科学、精神医学の分野にて科学的に証明されており、決してオカルトや宗教的な意味合いのみを持つわけではありません。
実際に証明された効果は以下の通りです。
・うつ病、恐怖症、摂食障害などの精神的困難の改善
・脳の海馬の成長による、学習力、記憶力、感情の制御力の向上
・即頭頭頂接合部の成長による共感性の向上
・交感神経の鎮静化、副交感神経の活性化
上記の他にも、糖尿病などの身体的症状の改善がみられたり、身体の免疫システムの向上がみられたりと、精神面だけでなく身体的な不調の改善も見込まれているのです。
このように、マインドフルネスの効果は非常に大きい物があります。
これらの効果を、実際に瞑想を実施することによって自分のものとしていくのです。
Googleが実施しているマインドフルネスのやり方
サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法
Googleでは「SIY(search inside yourself)」と呼ばれるマインドフルネスがベースとなったトレーニングプログラムが導入されています。
SIYとは、2007年にGoogleの107番目の社員であるチャーディー・メン・タン氏が、瞑想の科学的分析データを元にして開発した、リーダーシップパフォーマンス向上プログラムのことです。
神経の可塑性(かそせい)、つまり年齢を重ねても、脳の構造は成長、変化することに注目したプログラムとなっています。
Googleでは実際に社内で講義、セミナーの開催、瞑想するための場所と時間の提供など、活発にマインドフルネスプログラムの実施を推奨しています。
基本のマインドフルネス瞑想のやり方
マインドフルネス瞑想とは、マインドフルネス状態に至るための瞑想の方法、すなわち一般的な瞑想のイメージで大丈夫です。
Googleではその瞑想の方法を具体化し、プログラムとして実施しています。
方法は以下の通りです。
椅子に座って行います。
1. 背筋を伸ばし、心地よく感じる、リラックスできる姿勢になる
2. 脚は組まず、両足を床につけ、両手は腿の上に乗せる。手のひらの向きはどちらでも良い
3. 目を閉じる、または半目の状態で約1メートル先の床をぼんやりと見る
4. 鼻で深呼吸を行う。気持ちを落ち着けるために最初に普通に2~3回行い、その後に本格的な呼吸を始める
5. 息の流れ、お腹、胸の動きに意識を集中させながら、呼吸に集中する
6. 雑念が湧いたら、「雑念が湧いたな」と受け入れ、自分のタイミングで再び呼吸に意識を戻す
7. 5~6を終了時間まで繰り返す。(初心者は5分、またはそれ以下の短い時間でも良い。たとえ一呼吸だけであっても効果があると言われている)
8. 終わる時は、自分のペースで5回ほど呼吸を行う
9. 目を開け、1分間ほど瞑想内容について振り返る
コツとしては、自分の動きや息の流れに好奇心を持つこと。
「どういう風に動いてるのかな」、「どんな音がするのかな」など、些細なことで良いので意識の対象に興味を持つようにして下さい。
また、雑念が湧いたとしても、そこまで気にしないことが重要です。
雑念を消し去ろうとして、さらに雑念が湧いてくるといったことも普通にあること。
大切なのは、そこで諦めて中断するのではなく、もう一度呼吸に集中する努力を行うことです。
トレーニングを重ねれば、おのずとできるようになります。
このマインドフルネス瞑想を各個人で行う場合、場所は自分の生活に合い、集中できる場所であればどこでも良いです。
その際、アロマや照明を工夫して利用しても良いですが、最終的にはそれらを頼ることなく集中できることを目指しましょう。
実施する時間は、物事が始まる前の朝、もしくは物事を終えた夜に行うことが推奨されています。
しかし、継続して実施することが一番大切ですので、そこまでこだわらず無理のない時間で実施していって下さい。
アンガーマネジメントで怒りをコントロールする
アンガーマネジメント、別名SBNRR(stop 止める breathe 呼吸する notice 気づく reflect 反応する respond 対応する)と呼ばれるプログラムがあります。
これは怒りなどの感情がとっさに出てきてしまった時に、いったん落ち着いてうまくコントロールするためのトレーニングになります。
方法は以下の通りです。
1. 深呼吸で身体、精神を落ち着かせる
2. 2分間ほどイライラしたり、ムッとしたりした体験を思い出す
3. そのネガティブな体験の最適な解決方法をシミュレーションする
4. 最後に深呼吸する
ジャーナリングで自分の感情に気づく
ジャーナリングとは、自分が心に思った、考えたことを制限時間内にひたすら書き続けることです。
今、感じていることや意識していることをなんでも良いので白い紙に書けるだけ書いていきます。
自分の感情を言葉にしてアウトプットしていくことで、自分の感情が整理でき自己認識力が高まります。
ジャストライクミ―(私と同じ)で共感性を育む
相手の考えに共感したり、相手の立場になって考えるようになったりするための共感性向上のトレーニングです。
人は相手との共通点を見いだすと、相手への関心や共感が高まるので、チームワーク向上に効果があります。
方法は以下の通りです。
1. 深呼吸を5回ほど行う
2. 頭の中に共感を向けたい相手を思い浮かべる
3. 頭の中で「この人は私と同じ体と心を持っている」など、あらかじめ決まっている「この人は私と同じ……」というフレーズを唱える
4. 2~3を繰り返す
思いやり瞑想
相手への思いやりの心を育むワークです。
Google内ではこの瞑想を行うことにより、中長期的視点を持つ人材が増え、チームワークが大きく向上したという報告があります。
方法は以下の通りです。
1. 深呼吸を行う
2. 思いやりを届けたい人物を思い浮かべる(始めは自分、次に大事な人)
3. 再び自分呼吸に集中する
Googleのマインドフルネスの本について
Googleのマインドフルネスについてさらに詳しく知りたいのであれば、
『グーグルのマインドフルネス革命―グーグル社員5万人の「10人に1人」が実践する最先端のプラクティス(付録:マインドフルネス実践ガイドCD)』
を読むことをおすすめします。
Googleのマインドフルネスプログラムの成り立ち、効果、実施方法、中心人物であるビル・ドウェイン氏のインタビューなどが詳細に載せられています。
Googleのマインドフルネスを知る為には一番のおすすめの本です。
アマゾンでなら紙媒体、電子書籍どちらでも読め、kindle unlimitedに加入しているなら無料で読むことが可能となっています。
また、よりわかりやすいコミカライズ版もあるのでそちらもおすすめしています。
Googleのマインドフルネスにご興味の方は、一度本に目を通し、実際に行ってみてはいかがでしょうか?