「マインドフルネス認知療法」という言葉を聞いた事はありますか?
「マインドフルネス」、「認知療法」と、各独立した単語は聞いた事があるかもしれませんが、この二つの言葉が合わさった単語は初めて聞いた方が多いのではないでしょうか。
今回は、うつ病の療法として用いられるこの「マインドフルネス認知療法」について解説していきます。
マインドフルネス認知療法とは?
「マインドフルネス認知療法(MBCT)」とは、認知療法に瞑想の考えを取り入れた「マインドフルネスストレス低減法」を、よりうつ病治療に特化するよう展開したものです。
「マインドフルネスストレス低減法」が身体のストレスによる障害の克服を目的にするのに対し、「マインドフルネス認知療法」はうつ病や摂食障害などの心理的障害の克服を目的にしています。
認知療法とマインドフルネスとの関係
認知療法とは、「ものの見方」や「現実の受け止め方」、いわゆる「認知」と呼ばれる過程にゆがみが生じ、悲観的な考えしかできなくなった状態を改善していく療法です。
この「認知」のゆがみは、「自分はこういう人間だ」という誰もが持っている思い込みがネガティブなものになり、常に自分や物事に極端な否定的感情を持ってしまうことで起こります。
人間は本能的にネガティブな感情が心に残りやすいので、認知にゆがみが生じてしまうとすぐに心が疲弊してしまうのです。
そこで認知療法を用い凝り固まってしまった否定的な考え方を解きほぐすことで、その認知のゆがみを解消することができます。
「マインドフルネス認知療法」は、その認知療法の考えに「マインドフルネス」の技法を取り入れた「マインドフルネスストレス低減法」を、さらに精神的療法に応用したものです。。
マインドフルネスの考えを入れることで、否定的になってしまった感情や思考パターンに「気づき」、それをありのままに受け入れられるようになります。
マインドフルネス認知療法のプログラム
マーク・ウィリアムズ博士を始めとするメンバーによって開発され、うつ病再発防止効果が実証されたこのマインドフルネス認知療法プログラム。
このプログラムのセッションは、以下の8セッションで構成されています。
1.自動操縦状態に気づく
2.うまくいかない時
3.呼吸へのマインドフルネス
4.現在にとどまる
5.そのままでいる
6.思考は事実ではない
7.自分を大切にする
8.これからに活かす
この8つのセッションにてうつ病の再発に関する様々な要素を取り上げ、再発予防の知識の定着や実施を行っていきます。
また、このセッション内では、呼吸瞑想や静座瞑想などのマインドフルネス瞑想も取り入れられており、マインドフルネスの考え方がベースにあることがわかります。
マインドフルネス認知療法にはどんな効果がある?
自己否定な考えや悲観的なものの見方を、一歩引いた位置から冷静に分析することにより、うつ病の特徴であるネガティブな感情、思考パターンの繰り返しを防ぐ事ができます。
うつ病患者の方は、うつ病だった自分を再び思い出してしまうことで、もう一度うつ病の症状がでてしまう場合があります。
そしてそれがうつの再発に繋がってしまいます。
ですので、大切なのは「ネガティブな感情を消す」ことではなく。「ネガティブな感情を受け止め、柔軟に対処する」ということになるのです。
そこでマインドフルネス認知療法では、マインドフルネスの技法を用いて自分の負の感情に気づき、客観的に見つめられるようにトレーニングを行っていきます。
そうしてうつ病の特徴である、「自分はダメだ」、「もうどうしようもない」などの負の感情をありのまま受け入れることで、再び思い出した時にも対処が可能になるのです。
マインドフルネス認知療法はどんな人におすすめ?
上記の解説の通り、マインドフルネス認知療法はうつ病改善のために編み出された手法ですので、うつ病の改善に大きな効果があります。
実際に心療内科やカウンセリングにおいて、うつ病治療の為にこの手法を取り入れている機関は多いです。
また、うつ病だけでなく、摂食障害、パニック障害、燃え尽き症候群など、他の心の病や精神状態の治療にも効果的です。
もし、上記の症状に悩んでいる方がおられれば、一度このマインドフルネス認知療法のプログラムを試してみてはいかがでしょうか。